現在、日本国内において確認されている花粉症の原因となる植物は60種類にも上ります。このうち約70%を占めるのがスギです。これは第二次世界大戦後、森林資源の増大や回復を目的に大量の植林がなされたためとされています。これだけの量のスギ花粉が風に乗って日本中を飛び回るのですから、花粉症になる人が多いのもうなずけます。
しかし、スギほどは知られていませんが、スギ以外にも花粉症を引き起こす植物があります。そこで、スギ以外の植物も含め、花粉症の抗原や地域別の花粉の飛び方などについてご紹介します。
花粉症の原因となる植物の種類
スギのほかに花粉症を引き起こす原因(アレルゲン)となる主な植物には、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどがあります。ヒノキは1月~6月、カモガヤは3月~11月、ブタクサは8月~10月に注意が必要な時期です。(花粉の種類や飛散時期は、地域によって異なります)
地域別の花粉飛散
全国的に患者が増え続けているスギ花粉によるアレルギーですが、北海道ではスギ花粉飛散量は極めて少なく、沖縄ではスギが植林されていないためスギ花粉の飛散はありません。スギ花粉の飛散量が比較的多いのは関東・東海地方です。また、関東・東海地方ではヒノキ花粉も飛んでいるためシーズン中は体調を崩す人が増えます。関西ではスギとヒノキの花粉飛散量はほぼ同じぐらいですが、天候などの条件によってはヒノキ花粉のほうが多くなることもあります。
どんどん増える目のアレルギー
花粉症の症状が出るのは主に目と鼻です。目に起きる症状を「季節性アレルギー性結膜炎」と呼び、日本ではスギやヒノキの花粉が原因となっているケースが少なくありません。
患者数は男性よりも女性に多く、年齢では男性の患者が10代に集中しているのに対し、女性は10~40代と幅広い年代の人に症状が現れているのが特徴です。
スギとヒノキの花粉症が増えている理由
日本国内に大量のスギやヒノキが植林されたことも主な理由のひとつですが、ほかにも次のような原因が考えられます。
- 大気汚染
- 地球温暖化
- 食生活の欧米化
- 住環境の変化
- ストレス
飛散する花粉の量は同じでも、自動車の交通量が多かったり工場が密集していたりする地域では、花粉症を訴える患者さんの数が多くなるといわれています。また、気温の高い日が増えると、花粉が飛びやすい条件が揃いやすくなるので飛散量が増えます。
そして、肉類や油類の多い欧米型の食生活は免疫系を刺激してアレルギー体質を作り出すこと、建築技術の発達で気密性が増した住居内にはアレルゲンが長く留まりやすくなり、免疫系の過剰反応につながることが知られています。
花粉症対策は1年を通して必要
花粉症のアレルゲンとしてはスギやヒノキが有名ですが、その他の花粉も原因となりえます。目のかゆみや充血、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状が出たら花粉症の可能性も疑ってみましょう。症状を軽く抑えるには、1日でも早く治療を始めることが大切です。また、お住まいの地域の花粉情報もチェックしてみてください。
「花粉症の正しい知識と治療・セルフケア」(平成17・18年度厚生労働省免疫アレルギー疾患予防・治療研究推進事業)(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/dl/ippan-qa_a.pdf)を一部編集して作成